今年のH1-B通常枠には、申請開始2日で年間枠(約6万)を大幅に超える約13万件の申請がありました。その結果、申請受付は2日で締め切られ、申請者はコンピューターによる無作為の抽選で選ばれることになり、最終的に約半数の申請書は受理されませんでした。またH1-Bの大学院枠も4月30日には年間枠に到達し、4月30日に受理された申請については、同じくコンピューターによる無作為の抽選で選ばれることになりました。
H1-Bビザ枠の取り消し・増量を求める米企業
2年前のH1-B申請は通常枠が8月、大学院枠がその翌年1月に締め切られ、昨年は通常枠は5月、大学院枠は8月に締め切りとなりました。昨年、一昨年のH1-Bの申請情況と比べると、今年のH1-Bの申請は早目の締め切りが予想できたにせよ、このような状況になることを予測していた人は余りいなかったのではないでしょうか。この状態が続くと次回は確実に抽選になるだけでなく、選ばれる可能性が極めて低くなると予測できます。
今年のこの申請締め切り後、各方面からH1-Bの枠の取り消しや増量を望む声が聞かれました。ビル・ゲイツ氏もその一人で、もし彼が法律を制定することが出来るとしたらどうしますかという質問に対して、H1-Bの枠を取り消します、と回答しています。競争の激しい世界市場の中で、優秀な人材を雇うためのビザが足りなければ、アメリカの競争力がなくなることも起こりうると危惧しているようです。また、マイクロソフト内でもH1-Bの枠により雇用に問題が起きているそうです。その他にも、5月17日にCompete
America
(アメリカの雇用主が才能のある人材を雇用することを確保できるように訴える団体)が約130社を代表して、H1-Bの年間枠の増量を米国議会に訴えました。その130社にはグーグル、IBM、
e-bay、 ヤフー、
マイクロソフトなどIT会社が多く含まれる一方で、コダック、コカコーラやエクソンモービルなどの大手企業もH1-Bの不足を訴えています。しかし逆にH1-Bが増えることにより、アメリカ人の雇用の減少を危惧する団体も存在しているのも現状です。
来年のH1-Bビザの行方は、今年の移民法の改正次第
来年のH1-Bの行方を大きく左右するのが、今米国議会上院で話し合われている移民法改革案です。H1-Bに関しては、以下の項目法案が関連してでています。
- 2008年度のH1-Bの年間枠を11万5千に増やし、その後18万件まで増加することができる
- 職歴を学歴の代用にすることを禁止する(職歴3年で学歴の1年分に換算できる現在の制度を禁止することにより、H1-Bビザの対象者を少なくする)
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雇用主はH1-Bを申請する180日前と180日後の間は、アメリカ人従業員を解雇することは出来ない。またアメリカ人の雇用をする努力をしなくてはいけないない(アメリカ人の雇用を守るため)
- 従業員50名以上の会社におけるH1-B保持者の割合を、全体の50%までとする
- 雇用主はH1-B対象者だけを求人することはできない
その他、政府機関の調査権限を大幅に増やし、違反企業に対する取締りを厳しくするとしています。また罰金も倍に増額される案がでています。
この法案は、H1-Bだけでなく、ゲストワーカービザ、不法移民に発行されるビザなども含まれています。この法案は、6月中には上院での審議が終了し採決が行われる予定です。しかし、この法案が立法化されるためには、下院でも決議されないといけません。下院には特に共和党の反対議員が数多くいるため、今後は下院内での賛成派と反対派の議員の間で交渉が始まりますが、ブッシュ大統領はこの法案に賛成の立場を示しており年内には承認をしたいとしています。
(5月28日更新) |